日本で弁護士になるためには、司法試験に合格しなければなりません。そのルートの一つが予備試験を経由する方法です。この記事では、予備試験と司法試験の違いから、それぞれに向けた効果的な勉強方法、おすすめの参考書までを詳しく解説します。
1. 予備試験と司法試験の違いとは?
■ 司法試験の受験資格
司法試験を受験するには、以下のいずれかを満たす必要があります:
- 法科大学院(ロースクール)を修了する
- 予備試験に合格する(学歴・職歴不問)
予備試験は、「法科大学院を経ずに司法試験を受験できる制度」であり、難関ですがコスト面・時間面でメリットがあります。
2. 予備試験と司法試験の勉強スケジュール
■ モデルスケジュール(予備試験から)
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 1年目(4〜6月) | 基礎7科目(憲法・民法・刑法・行政法・商法・民訴・刑訴)のインプット |
| 1年目(7〜12月) | 論文の型と過去問演習(短答対策と並行) |
| 2年目(1〜5月) | 予備試験短答対策を強化(5月実施) |
| 2年目(6〜9月) | 論文式対策(7月頃)+口述対策(10月頃) |
| 3年目 | 司法試験対策(5月本試験) |
📅 1年間の予備試験・司法試験 学習スケジュール【モデルプラン】
1〜2月:基礎インプット(憲法・民法・刑法)
- 憲法:統治機構・人権の全体像を理解、判例百選の読み込み
- 民法:総則〜物権を中心に、条文・趣旨・判例ベースで学習
- 刑法:総論から入り、構成要件・違法性・責任をマスター
- 並行して:短答過去問を各科目10年分(肢別可)
目標
- 各科目の基本書1周+過去問10年分短答演習
- A4ノートで論点ごとのまとめを作成
3〜4月:手薄科目のインプット&論文答案の「型」訓練
- 民訴法・刑訴法・行政法の基礎学習開始
- 商法(会社法中心)も並行
- 論文演習開始:週1〜2本、答案構成+手書き答案
- 法律7科目すべてを1周学習し終えることが目標
目標
- 論文答案の「型」(IRAC構成)を定着させる
- 論文式過去問5年分をざっくり把握する
5〜6月:短答集中期(予備試験直前想定)
- 短答式過去問の3周目に突入(特に正誤の根拠分析)
- 条文素読(1日20条)や判例カードの暗記も強化
- 論文答案は「答案構成メモ」を中心にスピード感を意識
目標
- 短答模試で合格点を安定して取れるようにする
- 苦手科目の短答肢をリスト化して潰していく
7〜8月:論文対策徹底(予備試験論文対策)
- 論文答案:週3〜4通、本番想定で2時間以内に書く練習
- 重要判例と論点の再整理(論証カードを作成しておく)
- 本試験形式の答練(模試形式)にも挑戦
目標
- 各科目で論文3パターン以上の型を記憶
- 実戦模試で「合格ライン答案」を書けるようにする
9〜10月:口述式対策(予備試験口述想定)+民事実務入門
- 民事訴訟・刑事訴訟の「手続きの流れ」を理解(口頭で説明できるように)
- 模擬口述:友人・予備校と組んで実践練習
- 同時に、司法試験の科目や傾向分析も始めておく
目標
- 予備試験口述試験を突破できる知識+落ち着き
- 民訴の書式・用語に慣れる
11〜12月:司法試験に向けた論文+選択科目スタート
- 司法試験用の論文演習(過去問や最新問題)に切り替え
- 選択科目(倒産法・知的財産法など)の基礎学習開始
- 手持ちの論証パターンのブラッシュアップ
目標
- 司法試験論文の時間配分を体にしみこませる
- 選択科目の基礎インプットを2ヶ月で完了
翌1〜3月:答案練習・本試験形式の演習
- 各科目の論文過去問を本番形式で繰り返す(週3通以上)
- 選択科目も含めて実戦答案練習(できれば添削付き)
- 司法試験向け全国模試などを受け、弱点分析
目標
- どの論点が来ても最低限の合格答案を書ける自信
- 知識+スピード+戦略の三位一体を完成させる
4〜5月:総復習とメンタル管理
- 短答確認(択一苦手分野を総チェック)
- 論文答案の見直し・記憶整理(論証集・趣旨カード)
- 睡眠・食事・時間管理など体調面の最終調整
目標
- 本番で「いつもの通り」に力を出せるように調整
- 勉強量を徐々に減らして、集中力を本番に温存する
補足:1年スケジュールのポイント
- 答練(答案練習)は週3本ペースが理想(復習含めて6時間/本)
- 短答は1日20問ペースで継続的に触れること
- 論証・趣旨カードやA4ノートなど自作ツールは再現性を意識
- 過去問分析は「解ける問題」と「出る問題」の見極めがカギ
3. 効果的な勉強方法
■ ① 基礎知識のインプット
- 憲法・民法・刑法などの基本科目は、条文・判例・趣旨を理解することが重要です。
- 1科目ずつ集中して学習し、「条文→趣旨→重要判例→論点」という順で整理。
■ ② 短答式対策
- 過去問を中心に繰り返し演習するのが鉄則。
- 3回以上の反復を目安にし、肢ごとに「なぜ正しいか/間違っているか」を説明できるようにする。
■ ③ 論文式対策
- 論文は「型」と「スピード」が命。
- 最初は答案構成メモを書いてから、本答案を時間内に書く練習を。
- 添削指導を受けられるとベスト。
■ ④ 口述式対策(予備試験のみ)
- 判例百選を活用し、事案を要約して説明する練習。
- 友人や講師と模擬口述を繰り返すことで、本番対応力を養成。
4. おすすめの参考書・教材
▼ 基礎知識のインプット(独学向け)
| 科目 | 書名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 憲法 | 『憲法判例百選』(有斐閣) | 基本判例の宝庫。論文対策にも◎ |
| 民法 | 『伊藤真の民法入門』(弘文堂) | 初学者向けに丁寧な解説 |
| 刑法 | 『基本刑法Ⅰ・Ⅱ』(大塚裕史) | 体系的で論文向きの構成 |
▼ 短答式対策
- 『短答過去問パーフェクト』(辰已法律研究所):解説が詳しく、信頼できる
- 『肢別本』(LEC出版):条文ごとの整理がしやすい
▼ 論文式対策
- 『論文答練』(辰已・LECなどの講座教材):添削があると成長が早い
- 『司法試験・予備試験 論文過去問答案パーフェクト』(辰已):上位合格者の答案が見れる
▼ 総合対策
- 「スタディング」「アガルート」「伊藤塾」などのオンライン講座も人気。特にアガルートは予備試験合格者の多数派。
5. 受験生へのアドバイス
- 計画性が命:「逆算」でスケジュールを組むべし
- 習慣化がカギ:毎日少しでも法律に触れる
- 過去問主義でOK:司法試験は“本番で似た問題が出る”試験
- メンタル管理も重要:適度な休憩、運動、睡眠で集中力UP
まとめ
弁護士への道のりは決して簡単ではありませんが、正しい方法と継続的な努力で確実に近づくことができます。特に予備試験は独学でも合格可能ですが、膨大な範囲と高い合格率の壁を超えるためには、戦略的な学習が不可欠です。
自分に合った参考書や学習スタイルを見つけて、一歩ずつ前進していきましょう!
あなたへの一歩:今日から始める準備
- まずは1冊、基礎テキストを決めてみましょう。
- 「いつまでに予備試験を受けるか」を逆算して、年間計画を立てましょう。
- モチベーション維持のため、SNSやX(旧Twitter)で司法試験アカウントをフォローするのもおすすめ!